【栓の立ち木から 木の器完成まで】
はるか 眼下に太平洋を見下ろす北上高地に、
柏の大木が うっそうと茂り、秋にはエスキモーの子供のような綿帽子を被ったドングリを大量に実らせ、リス、ノネズミ、クマ、カモシカ達の食欲を満たしていたのだろう。 今は、柏の大きな切り株だけが周囲一体に残っているだけだった。
しかし、カシワの切り株の周りにはタラ、ミズキなど、日射を好む広葉樹の芽が、歩くに邪魔なくらいに生えている。
十年経つと、高さ3〜4メートルほどの広葉樹がびっしりと立ち、分け入る隙間も無い状態になるに違いない。 広葉樹林は、人間が人工的に植えたものではない。 地球が、太陽が、宇宙が 生み、育てたものである。 その地の気候にもっとも適した植生ができていく。
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