【みずまつり速報033】 龍泉の池では、御水搬送隊の禊ぎが行われる。水を被る前に唱える文句がある。 古来、この地方には“若水汲み”の風習があった。大晦日、除夜の鐘など鳴ることもない集落の一家の主は、家族が寝静まり、元日の午前零時を廻ったころ、家人の誰の目にも触れず、井戸に行く。 井戸と言っても、掘りぬき井戸ではない。たいていは沢の水を使っていた。その井戸に塩と洗い米と手桶を持って行き、“上七里 下七里”“上り水神 下り水神”“四十八滝水神様に 願い奉る”と祈り、一家の無病息災、田畑の五穀豊穣を祈って、後ろを振り返らずに帰ってくる。確かに 病は口から。飲み水から疫病が起きる。 水が清らかであれば病気も流行らない。“みずまつり”の企画は、この古来からの風習の上に立っているのである。
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