10/15
被災当時は1日が長かった。
弊社の周囲は、わずか数日で電気も水道も復旧しましたが、
それが1週間にも感じたものです。
少しずつ日常が戻り、家具作りはできなくとも、工房の修理などを
進めていますと、これが「普段の生活」になってきます。
そのせいか、この頃は時間の流れがもとに戻ってきた感があります。
いつの間にか10月も半ば。
朝の最低気温は5℃ほどになるなど、すっかり晩秋の気配が漂います。
日も短くなる中、まだまだ泥出しのボランティアが必要なお家がたくさん。
週末を中心に、関東からもボランティアバスが派遣されるなど、
たくさんの善意が集まっているのは大変心強いです。
さて、今月初旬に4日間かけて作業していただいた、
材木置場の崩落しかけた倉庫からの、一枚板救出大作戦。
>初日
>2日目
>3日目
>最終日
担当していただいた、花巻市石鳥谷の高田工業さん。
今回の作業を引き受けてくださり、お忙しい中を直接何度も足を運んでくださった
佐々木社長のブログに、今回の作業の様子が掲載されました!
技術的な部分以外にも、社長さんのお人柄が伝わってくる、
慈愛と頼もしさが重なったコンテンツとなっております。
ぜひご覧ください。
>社長の部屋へようこそ!~宮澤賢治のふる里 イーハトーブ花巻から徒然なるままに~
上にも書きましたが、ちょっと気を抜くと1日が終わってしまう今日このごろ。
秋の日はつるべ落とし、日に日に夜明けと日暮れが早くなります。
気がついたら1週間も投稿できていませんでした。
おかげさまで、工房には、床下も含めてほとんど泥がなくなりました。
やっと、修復に取り掛かれます。
先日、来社してくださったKさんが、簡易水分計を持ってきてくださいました。
水没した柱、泥に埋まったその根本などを計測していただくと、
天井に近い部分と比べて、わずか5%ほどの違い。
簡易的なものとはいえ、現在のそれらの見た目や手ざわりから行っても、
極端に外れているとは思えません。
そろそろ、壁を塞いでも良さそうです。
これを前に、木工関係の皆様からいただいた道具類を、皆で開封いたしました。
これは、社長の昔からの木工仲間である、長野県の木工作家谷進一郎さんらが
呼びかけてくださって、手持ちで余っている道具類を寄贈していただいたもの。
鉋(かんな)類から、
電灯類、トラロープ、ペーパータオルなどの非常用品、
電動工具類一式など。
ほとんどの職人さんの手道具も泥に埋まってしまいましたから、
このたびの寄贈はたいへんありがたいことでした。
お送りいただいた皆さまに、心から御礼申し上げます。
木曜日には、被災後初めて、盛岡まで行ってきました。
訪れたのは、渋民で従来工法による木造住宅を手がけていらっしゃる杢創舎さん。
木材を扱わせたら県内随一と言われ、丸太から買い付け、自社で製材するというこだわりで、
木を愛する人にぴったりの素晴らしい住宅を作っていらっしゃいます。
>杢創舎
1ヶ月ほど前、まだ工房が泥に埋まっていた頃には、ダンプとミニユンボを
持ち込んでくださり、大きな助けになってくださいました。
あれがなければ、1週間も作業が遅れていたかもしれません。
>岩泉純木家具復興への軌跡9/10
そのあと、床や壁の修復についてご意見を聞かせていただいたのですが、
そのときに
「リフォームなどで撤去した窓枠やサッシがたくさんあるので、使ってください。
床板も安いフローリングを入手したので、それもぜひどうぞ」
とおっしゃっていただいたんです!
今回の被災では何十人もの方々に温かいご支援をいただいていますが、
皆さんがおっしゃるのは「昔から純木家具にお世話になってきたから」とか、
「このまま素敵な家具工房を終わらせるわけにはいかないから」など、
40年にわたる年月と、そこで重ねてきた皆さまとの絆あってのお言葉。
なんとしても再開にこぎつけ、一層素敵な家具を作り出すよう、頑張っていきます。
当初は現物確認にとどめておく予定でしたが、工房の作業の進み具合などを
考えると、できれば早い段階で頂戴し、工房の復旧を進めたいという職人の希望。
そのとおりであるので、ご無理を申し上げて、頂戴してくることにしました。
壁に取り付ける枠のサッシと、そこにはめる窓枠が、別々に保管されています。
どれがどれに合うかは、やってみないとわからない、まるでパズル。
何人かのスタッフさんに、作業の手を止めさせてしまい、お手伝いいただくはめに。
完全にお邪魔になってしまって、申し訳ないことをしてしまいました。
そのおかげで、工房1階の窓を総取り替えできるくらいの、
たくさんのサッシをより分け、積み帰ることができました!
この枠は、一緒に行ったうちの職人さんが、一つずつネジを外して解体してくれたもの。
窓枠とガラスは、このままでは持ち帰る際に割れてしまいます。
今回はそのまま置かせていただいて、次回に専用の固定具をお借りし、
積み帰ることにします。
うちの工房は古いため、窓はほとんど全部木枠でした。
風流で良いのですが、台風のときにはガラスが外れてしまいそうになったり、
冬は隙間風が入ってきたり、環境としては良いとはいえませんでした。
守るべきものは守っていきますが、それと同じくらい大事にしたいのは、
働く環境。
これを機に、少しでも快適で使いやすく、地震でも安全になるよう、
リフォームや補強をしようと、被災直後から考えてきました。
そして必要になるのが、床板。
床が壊れたところはほとんど無かったのですが、泥水でカビが生え、
床下にも泥が溜まってしまったため、全て剥がしてしまいました。
というより、お力をお借りして、剥がしていただきました。
ここに貼るぶんの板ということで、杢創舎の澤口さんが、
格安のフローリング材を入手し、お譲りくださいました。
表の仕上げはバラバラなのですが、裏返しで使うとちょうどいいとのこと。
表面はコーティングしてあるため、きれいですが滑ってしまいます。
靴で歩く作業場ですから、丈夫で滑らないのがいちばんです。
杢創舎さんには、このたびは何から何まで、お世話になってしまいました。
復興したらなにかお礼ができればよいのですが・・・。
帰り支度をしていましたら、スマホが鳴りました。
出ると、滝沢の二和木材さん。
この床を貼るために注文していた構造材が、早くも仕上がったとの連絡です。
ここの若社長は、高校の頃からの親友。
受け継いだ材木屋さんを、業界屈指の注目株に育て上げた努力家です。
材木が長いため今回は積めず、現物の確認のみをしてきました。
いただいてきたサッシはまちまちの高さでしたから、それに合わせた
壁の改修が必要です。
前にも書きましたが、うちの職人さんの多くは、元大工さん。
家具作りより、こういった作業のキャリアの方が長いくらいです。
翌日の夜には、壁がずいぶんとすっきりしてしまいました。
そして今日。
暖かな日差しの中で、どんどん作業が進んでいきます。
夕方には、幾つかの窓枠は仮固定されていました。
水曜日には、岩手県工業技術センターさんと、デザイナーでクリエイターの
(株)エディションズ代表の金谷克己さんがご来社になりました。
実は工業技術センターさんの企画で、9月に一緒に北欧のフィンランドに
デザイン視察に行く予定でした。
私はこういった状況のため涙をのみましたが、みなさんは予定通り行ってらっしゃって、
今回はそれを踏まえたミーティングでした。
とてもおもしろい企画を提案してくださって、来年はそれを作って
見本市などにも出られるかもしれません!
来週は、いろいろ動きが出そうです。
まず、月曜日に鉄鋼屋さんが、工房補強用の鉄骨材を納入予定。
これによって、工房が丈夫になり、余分な柱が減らせて、働きやすくなります。
火曜日には、中古のトラックを受け取り予定。材木運搬がはかどります!
同じく火曜日に、発注していた外壁用のトタンが入荷。
木曜日は、杢創舎さんから残してきた窓枠を、
二和木材さんから床下の構造材を受け取ってくる予定です。
皆さんのお力をお借りしながら、引き続き頑張ってまいります!