10/5
いよいよ今日は、材木置き場の崩落しかけた倉庫からの、一枚板救出作戦最終日。
とはいえ、実質的には瓦礫の片づけになります。
1日全部使わなくても終わりそうとのことで、これまでより遅めの時間に
来てくださるというお話もありましたが、道路が混んで余計に遅れることを避け、
最終日である今日も、いつもと同じく朝8時に来てくださいました。
今日も、上にユニック車、下にバックホウを配置し、連係プレイで片づけていきます。
落ちかけた倉庫という、危険な環境での作業。
プロの仕事なので安心とはいえ、素人としては万が一の事故を心配してしまうわけでして、
「安全第一でお願いします」と、まさに釈迦に説法を言い続けてしまいましたが、
それが片付いた今となっては、やはり気が軽くなりますね。
昨日よりかなり減った瓦礫。
雑然として見えますが、よく見ると、柱材や、細い板材、そして残った一枚板など、
それぞれまとめてあるのがわかります。
大きな一枚板は1枚ずつ吊り上げ、残った小ぶりな材は、ひとまとめで吊り上げていきます。
引っ越しの終わりのあたり、本の束などがいくつか残っている様子が思い浮かびますね。
気になっていたのが、この途中で引っかかった基礎のコンクリート。
さっさと落としてしまうのが安心なのですが、ちょうどこの下に、
一枚板がたくさんありました。
コンクリートを落としてしまうと、一枚板に大きな傷を負わせてしまいます。
そのため、敢えて落とさずに最後まで残してくださった様子。
材木を大切に思ってくださる姿に感動です。
うまい方法だなーと思ったのが、これ。
壁材でもあったコンパネ2枚で、細かい瓦礫をサンドイッチし、まとめて吊り上げる作戦。
お昼前には、ここまで片付いてしまいました。
奥の箱みたいなものも、壁材のコンパネを即席で作り替えたコンテナ。
最後に残った細かい切れ端を、まとめて引き上げるようです。
屋根のトタンを、分別処分するために、小さいバックホウで巻き取るように剥がしていきます。
こういう小さい重機から始めて、大きな重機にレベルアップしていくんでしょうか?
中学校の時に、建設業に親しむイベント(課外授業?)があって、
こういうのを操縦させていただいたことがありました。
庭いじり用に欲しいですよね!(笑)
昨日、丁寧に切断して外していらっしゃった鉄筋。
これらもひとまとめになって、片づけやすくしてくださっています。
屋根のトタンの下に貼ってあった防水シート。
こちらもコンパクトに丸めてくださってあって、ほんとうに助かります。
処分は当方で行いますので。
木は軽くて、この後の処分が楽ですね。
ただ、工房も修復が必要だったりしますので、使えるものは使いまわすかも。
柱や梁材は、板をフォークリフトで持ち上げるときのスペーサー、
台木として活用することに。
分けておいてくださっているため、釘だけ抜けばすぐに使えます。
お昼前には、崖下の瓦礫はほとんど無くなっていました。
それではご覧ください、衝撃のビフォーアフター!
最初に見たときはどうしようもなく、材木が詰まったまま倉庫を崖下に落として、
そこから回収するという、乱暴な最終手段しか残されていないかと思われました。
ところが、おかげさまで、ほぼすべてといっていいくらいの板が、
無傷で救出されました。
そしてもちろん、どなたもお怪我なく、ほかの倉庫などにも被害を及ぼすことなく、
無事に終えていただきました。
しかも、9/24に社長さんによる最初の視察、9/29に技術担当さんによる視察、
そして10/1には作業開始、1日空けて今日までの合計4日で、
倉庫の解体まですべてを終えてくださいました。
おりしも今夜は台風18号が接近し、大雨が降る可能性がありました。
へたに崖下に瓦礫を残したままにすれば、それらが増水した川に流され、
橋に引っかかったり、片づけたばかりのところに流れ着いたりと、
下流にご迷惑をかけ、場合によっては二次災害の引き金になりかねませんでした。
熟練の技術と、たくさんの経験に裏打ちされた判断力、柔軟な発想による
臨機応変な対応など、素晴らしい仕事ぶりを(ほとんどお手伝いもせず)
見せていただきました。
困難な仕事を引き受けてくださった社長様、
打開策を探ってくださり、早朝から夜遅くまで活動してくださったスタッフの皆様、
直接は携わらずとも、負担を分担してくださったであろう会社スタッフの皆様、
高田工業のすべての皆様と、この素晴らしいご縁をつないでくださった今村さんに、
心から御礼申し上げます。
皆さんのお力添え無くしては、私どもの宝である一枚板は助けられませんでした。
これを励みに、これからも一所懸命、家具作り再開に向けて動いていきます!
実はこの後、午後も残りの片づけをしてくださっていたのですが、
私は別件の用事があり、最後まで見届けることができませんでした。
その用事というのが、商工会さんを通じて派遣いただいた建築士さんに、
工房の強度についての確認をいただく、現地視察でした。
これまで何度か、知人の建築士さんに確認をいただいてきました。
その都度、洪水による柱の傾きがなく、建物が丈夫でいることや、
床下の状態など、安全性を判断いただいてきました。
今回は、「被災前よりもっと使いやすい作業場」を目指して、
過去にあちこちに付け足してきた、補強柱を取り去ってしまい、
広く動きやすい作業場にするための、強度判断と補強手段のお伺いです。
うちの職人は、もともと腕のいい大工だった人が多く、いくつか案を出してくれていました。
結果として、その案をほぼそのまま実行すれば、補強柱を3本も無くすことができ、
使いやすい作業場にできることがわかりました。
さらに、これまでチェックしていなかった、構造上の弱点と、
その補強手段も教えていただき、さらに強度を高めることもできそうです。
ベテランの建築士さんの判断と、木造建築を若いころからこなしてきた職人の経験値と、
これらが合わさればまさに鬼に金棒。
うちの職人の大工技術は、今回の工房補修に大きな威力を発揮しています。
今日は工房の片づけをしながら、台風18号に備えた補修をしてくれました。
材木置き場の倉庫解体で出た材木と、コンパネ材を回収してきて、
開口部をふさいでくれました。
強い風が吹くと、工房内で風が暴れ、行き場を無くしてしまうと、
内側から屋根を壊したりするかもしれません。
これだけしっかりふさがっていれば、まず大丈夫でしょう。
帰宅前に、土嚢を並べて警戒します。
すでに暗くなっており、写真が取れなかったため、9/8に土嚢を並べたものを。
この時はまだ側溝が泥で埋まっており、まったく排水されませんでした。
しかし今は、ご近所の皆さんのお力をお借りして、排水溝は万全です。
そして念のため、直ったばかりのフォークリフトと、
お借りしているハイエースは、高台に避難させておきました。
今、日付変わって6日の午前1時30分。
夕食のころから雨でしたが、幸いにもさほど強くなく、
今はほとんど止んでいます。
地盤が緩んだり、仮復旧の道路が崩れる危険もありますが、
とりあえず大きな被害は出なそうです。